
第五章で化学的思考法の4つの態度を紹介した。
化学的思考法の態度はわかったけど、
具体的にどうしたらいいの?
明日から何を変えたらいい?
この問いに答えるため、第六章では化学的思考法を実践するための4ステップについて説明する。
実践するためには、難しい理論は必要としない。
もちろん、化学の知識も必要としない。
物理学を知らなくても、車の運転ができるように。
化学的思考法の実践プロセス
化学的思考法を実践するには、次の4つのステップを踏む。
- ありのままを観察し、言語化する。
- 共通項、規則性、法則性、特異性を見出す。
- コントロールできることのみ抽出する(A)。
- Aを制御して、事象をコントロールする。
ステップ1では、例外を肯定する態度の実践
ステップ2では、例外を肯定する態度に加えて、シンプルにすることのリスクを理解する態度の実践
ステップ3では、コントロールできることに集中する態度の実践
ステップ4では、可逆的な立場をとる態度の実践
である。
4つのステップを実践することで、化学的思考法の4つの態度を実践することができるのだ。
ありのままを観察する
「例外を肯定する」という態度は、言葉としての意味を理解できても、実際にどうしたら良いのかイメージがつかないかもしれない。
実は簡単なことである。
先入観、思い込みなどを全て捨てて、ゼロベースで、ありのままに見ること。
慌てて、結論を出そうとしない。 評価や解釈を加えない。
まずは、「何が起きているのか」予断なく観察しよう。
何を観察するのか
観察するのは、「事実」である。 「証拠」とも言い換えられる。
事実は、印象、意見、感想ではない。
事実とは、確認可能なものである。
同時に、事実を取り巻く環境も観察する。
例えば、
- 出来事などなら、5W1H
- 機械などなら、使用・設定条件、プロセス、観察事項など
- 販売などなら、顧客像、製品、日時、接客行動など
客観視できる、事実を見る。
そして、言葉、写真、データなどで記述する。
再現できる言葉にして記録する。
言語化する
事実には、証拠となるものがある。
事実を記録するとは、証拠となるものを「記述」することだ。
先述した、取り巻く環境は状況証拠だ。
言語化するというのは、文字通りの言葉だけでなく、
- 数値
- 表やグラフ
- 写真
- 帳票などの具体的な記録
などの形で書き出すことをいう。
言語化が詳細になればなるほど、
記憶しやすく、思い出し易くなる。
そのため、思考実験による再現がしやすくなる。
ステップ1でやるべきこと
ここでいったん整理しよう。
するべきことは何ら難しいことではない。
- ありのままを観察して、できるだけ多くの事実を集める
- さらに事実に対して証拠をより多く集める
- 証拠を、数値、グラフ、写真などで記述する
これを全て同時に行うことだ。
一つでも欠けたらダメだ。
ここが化学的思考法のスタートラインになる。
例外を肯定する態度とは
ありのままを観察し、できるだけ多くの事実を集め、
それを支える証拠を集め、言語化する。
この一連の行動そのものが、
事実を最初から排除しないという態度である。
観察したにもかかわらず、
「いやそんなはずはない」
「見間違えだろう」
「私がミスをしたに違いない」
と決めつけて、記録に残さないとしたら、
その瞬間に、例外は切り捨てられてしまう。
例外を肯定するとは、
不都合に見える事実であっても、
余計な判断を挟まずに、まずは残す
ということである。
やってみよう!
習うより慣れよ、といいます。
さっそく、化学的思考法の第1ステップをやってみましょう。
問題
ある製品の販売が不振(売上高が前年比−20%)で、
その原因を報告するように業務命令が下された。
上司は、その製品の売上高の推移を見て、前年比-20%であることから、販売不振と認識したのだろう。
売上高は、事実である。しかし、それを支える証拠としての構造が見えていない。
証拠集めとして何をしたら良いか?
例えば、5W1Hで記述できないか? いつから、どの地域で、どの顧客で、どのようにと分類する。
あるいは、売上高を売上数量と販売単価に分類してみる。
その製品を取り巻く環境についてのデータ、市場の成長率、競合の動向、シェアの変化などを入手する。
まだ分析には着手しない。
入手できる直接証拠と状況証拠をリストアップして、
一つ一つありのままに見たデータを積み上げていこう。
証拠が十分に集まったら、
分析に取り掛かる。
それが、第二のステップだ。