TOCのクラウドは、図を見ても、少しもすっきりしない。
言い方を変えると、安心できない。


そう感じるのはなぜか。
前節を書くまで、TOCのクラウドは全く理解できない代物だった。
正直に、「なんだこの中途半端な図は!」と思っていた。
でも、そうではなかった。
不完全さには、意味があったのだ。
ようやくそのことに気がついた。
完了と未完
ロジックツリーは、書き上がった時点で思考の中間ゴールになる。
ピラミッドストラクチャーも同様である。
書き上がったツリー図そのものに、同じ図の中でさらに手を入れていく、という使い方は基本しない。
一方でTOCのクラウドの場合、この図がスタートラインになる。
本当の思考は、これからである。
書いたのは、対立構造を「見える化」しただけだ。
まだ、考えていない状態である。
対立構造の見える化は、ロジックツリーのような構造化とは異なる。
網羅感が重要なロジックツリーに対して、
不安定な構造に見せるべきなのが、TOCのクラウドなのだ。
意図的に、不安を感じさせる。
安心感があったら、大失敗だ。
中途半端感が生む解決へのモチベーション
そもそも、クラウド、「雲」だ。
見通しのいいものではない、逆。
消し去るべき、蒸発させるべき対象である。
この雲がとれたら、富士山が綺麗に見られるのに!の「雲」なのだ。
おじゃま虫、と言っていい。
意図的にそうするのは、
- 思い込み
- 根拠のない前提
- 目を曇らせるもの
に気づくための舞台だから。
ロジックツリーのように澱みなく流れる構造にはしない。
分断ばかりのツリー構造をつくる。
分断があると、脳は自然に、
それを埋めるべく、考えることを始める。
TOCのクラウドが、意図的にスカスカのツリーなのは、そういうことだった。
スカスカなのに、クラウドで曇っているから、それをスッキリさせたくなる。
私たちは、
とにかく図を書いてしまえばそれであらかた終わる
と思っている。
しかし、TOCのクラウドは、思い切り、それを裏切る。
ロジックツリーもピラミッドストラクチャーも、書き終えるには相当なパワーがいる。
書き終えた時の達成感もひとしおだ。
一方で、TOCのクラウドは、全然逆だ。書くほどに不安になる。
頭の中の対立構造を見せつけられるから、平気なわけがない。
だから、クラウドを晴らす、決意が湧く。
だ、け、ど、
傍観者にはそれが分からない。
あなたがTOCのクラウドが理解できないのも、無理はない。
しかし、実は常時、そんな環境に身を置く職種が、この世にはある。
クラウドを蒸発させる方法
多分、TOCのクラウドを晴らすコンテストを開催したら、優勝するのは営業だろう。
常に、あちらを立てれば、こちらが立たずな状況の中で、
できるだけ、多くの人がハッピーになる答えが求められる。
Win-Winなんて優しい、三方良しどころではない、
もっと複雑な利害関係の中に身を置いている。
建設的であるのは当たり前。
さらに生産的で、クリエイティビティが求められる仕事が、営業だ。
今は、サステイナビリティも要求されている。
いまだに、お調子者であればなんとかなる、なんてのは石器時代の「営業」だ。
営業は、どうやってTOCのクラウドを蒸発させるだろうか?
対立構造そのものに直接手を入れようとする営業は、少ない。
だいたいにおいて、藪蛇になる。
中途半端に肩入れすることが一番ヤバい。
営業において一番大切なのは何か。
それは信頼関係だ。
営業を知らない人は、お客様と営業の信頼関係だ、というかもしれない。
実はそこではない。
会社から信頼されているか、が問題の核心なのだ。
営業が経験する板挟みの大半は、お客様と会社との間だ。
その対立関係に手を入れると、大やけどを負う。
お客様側に立てば、給料ドロボー? それどころではない、逆賊だ。
会社側に立つと、客は離れる。
禁じ手である。
さて、絶対にやってはいけないことは理解した。
ではどうするか?だ。
弁証法みたいな、高度な技術は必要ない。
前節の私のケースを思い出してほしい。
対立構造を補強するD→B、あるいはD'→Cの構造が
「そうでなければならない」「そうであるべきだ」など
思い込みに過ぎなかったのであって、本質ではなかったと指摘する。
本質は別なところにある。
私のケースでは、「何を伝えたいかを明確にすること」が抜けていた。
すると、クラウドは内部から崩壊する。
これが王道だろう。
まさに、ブログのタイトル通り、「現実歪曲フィールド」を炸裂させる。
「でもね、実は、○○○なんですよ。」
そんな一言で、対立構造そのものを無効化する。
見るべきだが見えていない、異なる現実を見せるのだ。
それが、「クラウドの蒸発」である。
徹底的な現実主義
実は、もう一つ別な方法ある。
それは徹底的な現実主義。
というより、ダークサイドだ。
対立構造を補強するD→B、あるいはD'→Cの構造は、
全て思い込みであり、辛い現実を見たくない夢と見なす解決法。
たわけ! 戯言(ざれごと)じゃ。
お前の目は節穴か!
大魔王「信長」の如く、力技で前提そのものを焼き払い、冷徹な現実を突きつけてクラウドを消し去る。
こういうの、意外とよくある。
世間的には、ショック療法、ちゃぶ台返し、と言われる。
霧を晴らすための、すべき努力を放置した、もしくは、されてしまったがために、
極端な現実が突きつけられる。
「信長」以外のなにかいい例がないか?
ああ、思い出した。
ちょっと、懐かしの領域だけれど、
笑ゥせぇるすまん、喪黒福造の、ドーン!!だ。
営業としては、そんなやり方はもちろん、したくない。