多様多種な事実に溢れ、簡単には全体像が見えないとき、
ピラミッドストラクチャーは威力を発揮する。
これは、ボトムアップから全体構造を掴む方法だ。
データや事実は、少ないよりも、多少、多い方がいい。
でも、過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如(ごと)し
という孔子の言葉にあるように、
多ければ多いほど良いわけではなく、
話はそんなに単純でない。
なぜならば、事実やデータが多すぎると、それらが意味するところの理解が難しくなる。
部分にばかり目がいき、全体構造が見えなくなる恐れがあるからだ。
ロジックツリー(イシューツリー)は、ゴールから逆算して構造化していく方法だが、
ピラミッドストラクチャーはその逆である。
ピラミッドストラクチャーの作り方
ピラミッドストラクチャーの作り方は、ブレインストーミングのまとめの段階に似ている。
【手順1】グルーピング
まず、集めた事実、データを似たもの同士、関係性があるものでグループ分けする。
【手順2】グループ別にまとめる
グループごとに、要するにどういうことか?を抽出する。
例えば、事実Aと事実Bのグループについて、この二つの事実から導き出される結論Cを考えるのである。
この時、結論Cはメッセージであることが望ましい。
概念を代表するキーワード、例えば「コミュニケーション」でまとめてしまうと、せっかくの具体性を失ってしまうからだ。「グループ内のコミュニケーションが不足する」のようにしたい。
この結論Cを事実Aと事実Bのグループの上に置く。
このように、下から上へと、つまりどういうことなのか?の関係性を構造化していく。
もし、グループをまとめる上位のメッセージが見当たらない場合は、
共通項を見つけ出し、新しい解釈や概念を自分で設定する。
【手順3】全体構造の構築
各グループの小結論が得られたら、グループ間の関係性を確認しよう。
それらを束ねて、「最終的に一番言いたいことは何か(メインメッセージ)」をピラミッドの頂点に置く。
【確認作業】上から下へ見直す
ピラミッドができたら、今度は上から下への論理構造を確認する。
上のメッセージについて、どうしてそう言えるのか?の関係性が成り立つかを検証するのだ。
そして、底辺まで論理の破綻がないことを確認して、ようやくピラミッドストラクチャーの完成である。
このように事実から出発し、「要するにどういうことか?」で上への関係性が説明され、逆に上から下へは「どうしてそう言えるのか?」が説明される。
ボトムアップのアプローチで、下から上へと構造化する手法をピラミッドストラクチャーというのである。
どう使うか?
今の時代、道具の使い方についてのガイドは、いくらでも手に入る。
しかし、肝心なことは、道具をどう使うか?なのである。
ピラミッドストラクチャーは、とにかくトラブル続きで、仕事が捗らない場合に役に立つ。
まず、今抱えているトラブルや、やらなくてはならないことを全て書き出してみよう。
営業としての例を出すと、
- 請求単価の間違いを指摘され、請求書の単価修正の承認を依頼されている
- お客様から、見積価格の件で問い合わせを受けている。
- グローバル本社から、日本の平均単価が著しく低いとの指摘を受けている。
が上がったとしよう。
共通する問題は何か?
営業における「単価管理の仕組みが機能不全になっている」というのが、想定される上位に来るメッセージだ。
同じように他のトラブルをまとめていくと、最終的にピラミッドの頂点には、営業活動をサポートする仕組みが機能していない、という結論が得られるかもしれない。
このように個々の事実を問題解決の対象として直接扱うのではなく、
「なぜそうなるのか?」という一つレベルを上げた原因に引き上げ、最終的な課題を見つけるのである。
根本的な課題が明白なものとなれば、重要なイシューに集中して取り掛かればいい。
間違っても、個別の問題に対して、一つ一つ対応するなどと考えてはいけない。
なぜならば、その場、その場の瑣末なケースに過ぎず、根本的な問題解決は都度先送りされてしまうからだ。
問題の根源を放置し続けると、末端問題は再生産され続け、処理する私たちの方がエネルギー切れして、鬱になってしまう。
問題の構造はわかった、解決法は?
ピラミッドストラクチャーを利用して、問題の全体像が掴めた。
では、そのまま問題の解決に向かって良いか?
実はよろしくない。
この構造は、問題の本質を掴むための構造であって、解決策を講じるための構造ではないからだ。
解決する際は、再びロジックツリーに戻り、解決すべき課題に細分化していくのだ。
先ほどの営業での例で言えば、「営業活動をサポートする仕組みが機能していない」が最終的な結論であった。
これをロジックツリーで問題解決可能な課題の塊へと分解していく。
営業活動をサポートする仕組みには何があるのか?
そして、それぞれの仕組みの重要性と業務における影響を評価し、
まず何を解決すべきかを決める。
単価管理システムに、オペレーション上の不都合が多く、問題の巣だと判明したら、
そこから問題解決を図るのである。
何かを成すとき、ボトムアップのアプローチで、細かいことをたくさんやっても、バリューは出ない。
本質的に重要な急所を叩かなくては、意味がないからだ。
延々とモグラ叩きをしても埒があかない。
そのうち疲れ、燃え尽きてしまう。
根本的な課題、もぐらの巣を叩いて、一網打尽にしなくてはならない。
問題発見のための手法
このように、ピラミッドストラクチャーは、
たくさんの事実や結果からボトムアップで構造化して、
本質的な課題を見つけるためのツールである。
問題のありかを下から上へと構造化する、問題発見編のツールなのである。
そして、解決編はロジックツリーが主役交代で出てくる。
問題を帰納的に扱い、本質的な課題を見つけるツールが、ピラミッドストラクチャー。
問題を分解し、集中させる力点を見つけるツールが、ロジックツリーである。
この使い分けを、十分に意識しなくてはならない。