東京〜現実歪曲フィールド界隈

東京で外資系企業の営業で働く人

第二章(3)変化を察知するための指標

第2章の第1回の終わりで、二つの問題提起をした。

ひとつは、「考える続けること」は不可能であること。
このことについては、第2回で説明した。
思考を中断し、安心して再開できる、仕組みを導入し、
忘れないための、リマインドと定期的なレビューをする環境を整えることである。

そして、もうひとつは、世界が動き続けることへの観察だ。
状況が変われば、最適解は変わる。
状況の変化をどう「察知」するか?

私は勘が優れているから、何となく分かる、
では答えにならない。
それでは再現性がない。
誰にもできない。

時計を見るように、何かを見て判断するはずだ。
例えば、投資信託などで投資をしているなら、以下の指標を耳にして、何らかの判断の根拠にするだろう。

日本株なら、日経平均株価TOPIX東証株価指数)。
アメリカ株なら、NYダウ平均、NASDAQ総合指数。
為替レートも見るし、金利の動向も確認する。
CPIなど物価の動向や、機械受注統計なども気にするかもしれない。
こうした指標は、「世界経済の動き」を反映している。

世界を記述する方法

前述したように、世界を記述するには、測定可能な指標を用いる。
例えば、東京二重橋の天気を記述するには、以下の項目を用いるだろう。

  • 気温
  • 湿度
  • 気圧
  • 風向・風速
  • 日照量
  • 雲量 など。

これらのうち、特に気圧は、天候の変化を予測する上で非常に有用な指標になる。
このように、結果に影響を与える予兆としての指標は、先行指標(Leading Indicators)と呼ばれる。
先ほどの投資に関する話では、機械受注動向などが先行指標として経済ニュースで取り上げられることが多い。

一方で、すでに起きた結果を反映する遅行指標(Lagging Indicators)がある。
わかりやすい例では、売上高。
販売結果を反映する指標だからである。

私たちは、すでに起きた過去を写す鏡としての遅行指標と
すでに起きた未来を写す覗き窓としての先行指標の
これら二つの指標を利用して、世界を記述しているのだ。

最適解の妥当性評価には先行指標を使う

イメージ:計器を頼りに
たとえば、ヨットを操縦する場面を考えてみる。

目的地に向かって進むために、
操船者が見るのは「どう動いたか」ではない。
それは、結果でしかない。

見るべきなのは、
風向きがどう変わり始めているか
風速が強まっているのか、弱まっているのか
潮の流れが、艇をどちらに押しているのか
といった、これからの進路に影響を与える兆しである。
言い換えると、「どう動くか」である。

もしも、GPS上に記録された航跡を確認してから
目的地からズレていることに気づいたとしたら、
それではもう手遅れだ。

起きた結果である遅行指標は、振り返りには大変役に立つ。
最適解が機能しなくなった結果については、説明してくれる。
しかし、それでは「後の祭り」で言い訳にしか使えない。

最適解が機能しなくなるかも?という不確実性を判断するには、
先行指標しか使えない。
私たちが見ている、対象にしている物事について
先読みするために有用な、先行指標はないだろうか?

先行指標としてKPIを利用する

KPIとは、Key Performance Indicator(重要業績評価指標)の略。
膨大なデータやパラメーターの中から、現状を最も的確に映し出し、改善の「鍵」となり得る指標を、人為的に選び出したものである。

言語化のためのツール - 東京〜現実歪曲フィールド界隈

仕事であれば、よく参照するKPIがあるだろう。
例えば、リードタイム。
受注から、生産、納入までにかかる平均の時間である。
今、現在のリードタイムを知ることで、 需要が増減した場合に、最適解(生産計画・在庫方針)を変える必要があるかどうかを早めに察知できる。

このように、先行指標として使えそうなKPIをリストアップする。
リストアップしたKPIの中から、最適解に影響するものを精査する。
そして、使えそうなKPIの一つひとつについて、KPIがどのように変化したら、最適解を改める必要があるのか、閾値を決める。

ここまでできたら、あとは、思考を生産的に中断するシステムの中に、組み込めばいい。

リマインドで設定したタイミング
定期レビューのタイミング
この二つのタイミングで、先行指標のKPIについて評価を行う。

これができれば、致命的な失敗を防ぐことができ、
傷口を広げることなく、最適解の調整ができるようになる。

ズレに気づく

最適解が今も機能しているかどうかを確かめるために、
私たちは、何も「正解」を知る必要はないのである。
大切なことは、ズレ始めていることに気づけるか?だ。

成功の確率を上げるためには何をするのでしたか?

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成功の確率を上げるには? - 東京〜現実歪曲フィールド界隈

でしたね。
ズレに気づくことができれば、成功の確率は高まるのです。

そのために使えるのが、KPI。
KPIは、単なる指標で、答えを教えてくれるものではない。
進んでいる方向が想定とずれ始めていないか、ズレを可視化する計器だ。

時計が「正しい行動」を教えてくれるわけではないように、
KPIもまた、「何をすべきか」を直接指示するものではない。
ただ、立ち止まるべきか、舵を切るべきかを考える材料を与えてくれるのだ。