変化のスピードが加速する世界に生きる私たちは、世界の動きに合わせて考え続けなくてはなりません。
考え続ける、
正論ですが、物理的にも、精神的にも、無理があります。
考え続けるべき対象は多いし、
日々新しくタスクは積み上がっていく。
降りかかってくる火の粉を振り払って、
致命的な失敗がないようにするだけで、精一杯だ。
だからこそ、目の前から、コツコツと、一つずつタスクを消し込み、
視界が塞がらないように、悪戦苦闘しているというのに。
考え続けることは不可能
そう言い切ると身もふたもない。
でも、紛れもない事実です。
考え続けられないのは、あなたの能力が低いわけではない。
ベストを尽くしても、実現は不可能なのです。
脳のワーキングメモリの容量に個人差はある。
でも、そんなに大差はなく、有限であることに変わりはない。
常に思考で占有していたら、メモリ不足で、いずれフリーズする。
ましてや、人が考えている最中に、こちらの都合は目にもくれず、
新しいタスクが、割り込んできて邪魔をする。
この無理ゲーの状況に対して、どうすればいいのだろうか。
「脳」の外に出す
私たちの「脳」は唯一無二で、代わりは存在しない。
頭の中で考えていることは、主観と一体化しやすく、扱いが難しい。
どうしたらいいか。
答えは、このブログの第1回の投稿で書いています。
現実歪曲フィールドの影響を避ける方法と同じです。
自分の頭の中だけで処理しようとしているから、 現実歪曲フィールドの中にいるから、 フィルターを解除できないのです。
することはとても簡単なこと。
現実歪曲フィールドって何? - 東京〜現実歪曲フィールド界隈
メモとして書き出して、一旦自分の頭の中から外に出す。
考えるためのサブシステムを用意する。
メモ帳に書き出すだけでもいいし、
タスク管理ツールを利用するのも良い、
スマホなどのメモアプリでも、ノートアプリでも、
要はなんでもいい。
考えていることを、いったん「脳」の外に取り出す。
そして、瞬間冷却する。
さらに、「忘れない」仕組みで管理をする。
「脳」は、まな板である
私たちの脳は、料理する際の「まな板」に似ている。
お肉を切ったまな板の上で、そのままチーズは切らない。
匂いと味が、移ってしまうからだ。
衛生的にも良いとは言えない。
私たちはそれと同じことを、「考える」行為の中でしてしまいがちだ。
雑多な食材が散らかったまな板を使って、美味しい料理はできない。
雑多なものが散らかったままの脳で、集中して、効率よく、考えることができるのだろうか?
一度、まな板の上から食材を移動する。
すぐに調理しない場合は、ラップなどをして、冷蔵庫に入れる。
必要になったら、また取り出す。
同じように、考えたことを、脳の外に取り出す。
考えたことが散逸しないように、メモなどを残し、瞬間冷却する。
必要になったら、瞬間解凍して、脳の中に戻す。
生産的な一時停止
瞬間冷却とは、
考えることをやめるための行為ではありません。
考え続けるための、生産的な一時停止なのです。
安心できる、外部記憶装置に、考えたことを記録する。
そうすることで、私たちは、安心して、いったん忘れられる。
忘れてもいい、という安心感が、私たちを自由に、創造的にする。
忘却への対処がなければ意味がない
ただし、ここで話を終えてはいけない。
脳の外に出して、瞬間冷却したままにしてしまっては、
単なる「忘却」に終わってしまう。
うっかり忘れてしまった。
どこかにメモを残したはずなんだけど……
ふっと、思い出した時には、もう手遅れ
そうなりそうなら、不安はますます増大する。
肝心なのは、忘れないようにする仕組みである。
考えていた時から即座に再開できる、瞬間解凍だ。
でも、幾分、私たちはラッキーだ。
ITの進化を利用できる。
- 紛失を恐れていた紙切れのメモ、ポストイット
- しおりを挟み忘れた読みかけの本
- いつ書いたかわからないホワイトボードの殴り書き
こうしたものは、ITツールを使えば簡単に保存できる。
多重バックアップで、消失のリスクは少ない。
タイムスタンプも、履歴も十分に残る。
瞬間冷却と瞬間解凍が、
最新の冷蔵庫並みに、鮮度よく、簡単にできる時代です。

考え続けるための環境構築
必要な時に瞬間解凍できることは、心理的衛生にとって必要不可欠であるが、それだけでは足らない。
忘れてはならないのは、定期的な振り返りだ。
仕組みの定期点検でもある。
もはや古典の域になりつつある、ライフハックの元祖としても知られるGTDでは、著者のデビッド・アレンが、「週次レビュー」という方法を提唱している。
GTDは、頭の中にあるモヤモヤとしたものを全て書き出して、適切に処理するフローに乗せ、ストレスフリーな状態を目指す、ライフハックである。
この仕組みが安定的に機能するのに欠かせない要素として、週次レビューというものがある。
毎週、頭の外に書き出したもの全てに目を通し、確認する作業である。
毎週、毎月、とにかく一定の間隔で
頭の外に出して、瞬間冷却した全てのものを
賞味期限切れのものがないか、傷んでいるものはないか
一つ一つ確認するのだ。
リマインドシステム、タイマーのようなものを利用して、
忘れることなく、適切なタイミングで思い出させるような仕組み
を導入していても、
それとは関係ないタイミングでの定期的なレビューをお勧めする。
なぜならば、
- 時間の経過に伴う思考の変化に気がつくことができ
- 目覚まし時計が鳴る前に起きるように、事前の対象ができたり
- 漠然と感じていた不安の正体を見つけられるかもしれないし、
- 新しいアイデアが浮かぶかもしれない
からだ。
- 瞬間冷却した時に設計したリマインドによる振り返り
- 定期的で強制的な振り返り
この二つを組み合わせることで、
考え続けることを仕組みとして確保できる。
環境は整った
考え続けるための
生産的な一時停止の仕組みと
忘却のリスクへの対処の組み込み
この安心できる仕組みと環境を用意できてはじめて、
「今、仮採用している最適解が、今この瞬間も機能しているのか?」
を確かめるための準備が整う。
何か一つのタスクを始める時、あるいは終える時、
あなたは何をしますか?
私は、つい時計を見てしまいます。
今、何時で
これから、あるいは、これまで、どれだけの時間を?
予定通りか、まきが必要か?
今とこれからを確かめるのです。
次回(第3回)では、
この「時計のような何か」を
最適解がずれ始めた兆候を捉える指標について、考えたいと思います。