3ヶ月先にまとまった休暇が取れた。
GWでも、お盆でも、年末年始でもない時期の1週間のお休み。
アメリカ株で儲けたから、金銭的に余裕がある。
そうだ、海外旅行がいい。
それもヨーロッパ、フランス、パリかな。
旅行ガイドを買って、ネットでも調べて、情報収集はした。
航空券も予約して、滞在先のホテルも予約した。
あとは行くだけ。
でも、ちょっと大丈夫かな?なんか不安がある。
多分問題はないと思うけど、なんか引っかかる。
心配性だなと自分を誤魔化して、それ以上のことは何もしなかった。
なんとなく感じる不安
しっかりと準備したつもりでも、なぜか感じる、ちょっとした不安。
誰にでもよくある話です。
できすぎた話には不安がつきものです。
心配性だなと自分を誤魔化して、不安から逃げたわけでもない。
行き当たりばったりでいい、と開き直ったわけでもない。
私たちは、何ら間違ったことはしていません。
ただちょっとだけ、忘れてしまっているのです。
それは、自分も、世界も、みな動いている、ということ。
あの時はそれで正しかったけれど、今はもう、そうではないのかも。
考えることを止めた瞬間、私たちの時計は止まってしまった。
思考停止の罠
十分な準備をしたと思ってしまったから、
付け入る隙のない、完璧な計画を立ててしまったから、
自分にとって十分に満足な計画を立ててしまったから、
それ以上考えることを止めてしまった。
思考停止の罠にハマってしまったのです。
そのために、不安が消えないのです。
思考停止の罠は、フレームワークをはじめとする知的生産ツールを使った場合にも起こりえます。
フレームワークは非常に綺麗に言語化してくれるので、完璧だと思い込んでしまいやすい。
フレームワークを作るのに苦労した分、達成感がひとしおで、満足してしまいやすい。
その結果、考えることを止めてしまいやすい。
フレームワークに当てはめただけで、全てを網羅して、分析を終えてしまったつもりになったのです。
散らかった部屋が、とりあえず見た目スッキリに片付いて満足したのです。
しかし、そんなのは長く続かない。
すぐに部屋が散らかる。
元の木阿弥となる。
見た目が整っただけで、原因が解決したわけではないからです。
それでは、フレームワークに当てはめることで、なぜ「思考停止状態」になるのでしょうか? もう少し細かく見ていきます。
プロクルーステースのベッド問題
プロクルーステースは、ギリシア神話に出てくるアッティカの強盗である。彼は、旅人を無理やりベッドの長さに当てはめてしまう。
もし旅人の体がベッドからはみ出したら、その部分を切断してベッドの長さに合わせる。
逆にベッドの長さに足りない場合は、旅人の体を無理やり引き伸ばしてベッドの長さに合わせる。
フレームワークを用いたとき、無理やり枠に当てはめませんでしたか?
もしくは、フレームワークに当てはまらない事実を、例外として無視しませんでしたか?
いつまで経っても子ども扱い問題
顔見知りの年上の方から、いい大人になっても子ども扱いされる、私はもう大人で十分成長しているのに。
対象の変化を無視していませんか?
分析の時にたまたま切り取った事実(スナップショット)だけで判断していませんか?
現実歪曲フィールド問題
現実歪曲フィールド(Reality Distortion Field)とは、Appleの共同創業者であるSteve Jobs(1955 - 2011)のカリスマ性と強引さを表現するためにスター・トレックの用語を借りて名付けた言葉です。
枠に見合う情報だけを探しませんでしたか?
恣意的に当てはめませんでしたか?
自分に都合の良い事実だけを採用していませんか?
絵に描いた餅問題
フレームワークを完成させたことで満足してしまっていませんか?
行動しなければ、現実は何も変わらず、期待する変化は起こせない。
まさに絵に描いた餅。
旅行の予約を万全にしただけで満足していませんか?
評論家的態度問題
自ら距離を置いて、客観視する。自意識を強く投影しないようにすることは、とても大切なことです。
だからといって、自分ごととせず、他人事として評論家風を吹かせてはいませんか?
これはあなたの問題なのです。あなたがコントロールしなければならないのです。
フレームワークを適用して、解説できて、それで満足ですか?
そうではないはずです。
自分が望む結果・成果を得るために、何かを実行すべきではないでしょうか?
旅行計画その後
なんとなく感じた不安は、一向に収まる気配がなかった。
予約確認画面を見ても、もうこれ以上何もすることがない、と言われているような気がした。
そんな時、パッと、宿泊ホテルへのメッセージ機能があることに気がついた。
予約への感謝と旅行安全を願う、お決まりの文章が並んでいたが、その中に、少しだけ目を引く一文があった。
それは、ここ最近のパリの様子。
あ、ガイドブックも、ネットの記事も、今現在のパリの情報ではなかった。
過去の情報しか知らなかったから、不安だったのかもしれない。
さっそく、メッセージへの返信をしたためた。
最新のパリの情報をありがとうございます。
ベルサイユに行こうと思っていますが、そちらの最近のニュースを教えてください。
不安が消えたわけではない。
だけど、少し違う。
来週に迫った旅行が、心から楽しみになった。