東京〜現実歪曲フィールド界隈

東京で外資系企業の営業で働く人

フレームワーク解説(1) 〜 PDCAサイクル

知的生産ツールの代表格である、「フレームワーク」は切れ味が大変鋭く、AS-IS、TO-BEを言語化するには、必要不可欠なツールの一つです。

フレームワークというのは、扱う対象に対して「思考の型」を適用して、様々な側面に切り分けて、モレなくダブりなく(MECE)、整理をするためのツールです。 3C分析、SWOT分析、STP分析、ポーターの5 Forces分析。 これまでに、戦略立案や市場分析を助ける様々なフレームワークが開発されてきました。 これらはMBA教育などを通じて世界的に普及した「標準言語」とも言えるものです。 その切れ味は抜群で、混沌とした現状を非常にすっきりとした構造体へと整理できるようになります。

言語化のためのツール - 東京〜現実歪曲フィールド界隈

PDCAサイクル

数あるフレームワークの中で、最もよく知られているものの一つは、PDCAサイクルです。 PDCAとは

  1. Plan: 計画
  2. Do: 実行
  3. Check: 評価・確認・検証
  4. Action: 修正して実行

という、一連のサイクルです。

PDCAサイクルを単純に回すだけで、相当のプロセスが回るようになる、大変強力で一般的なフレームワークです。
強力すぎて、常識になりつつあります。

計画を立てて、実行するのは、非常に当たり前のことです。
PDCAの勘所は、Cです。
「行動すれば次の現実」という言葉がありますが、Doで実行すると、Planの時には想定しなかった、新しい事実を知ることが多い。
そのため、Check、すなわち評価し、確認するのです。

  • 何が想定外だったのか?
  • 新しく知り得た事実は何か?
  • それぞれしたことの効果はどうだったか?

一つ一つ見ていきましょう。

何が想定外だったのか?

計画を立てた時、何らかの想定をします。
その想定に基づいて、実行計画を立案します。
計画を立てている時は、限られた情報をもとに考えざるを得ません。
だから、「想定外」のことが起きるのは必然なのです。
誰も悪くない、誰も責めることはできないのです。

それゆえに問題なのは、想定外のことを失敗だと捉えて、無視しようとすること。報告しないこと。
または、無意識に、あるいは意識的に「その想定外」に気が付かないようにすること。
そのようでは、盲目的に「失敗」への道をまっしぐらに進むだけです。

「想定外」は喜ぶべきことです。
予想外のズレを発見できたからです。 想定外は悪いこととは捉えずに、むしろ、これまでの方法をさらに改善できるチャンスとして、前向きに捉えたいもの。

あなたは、「不都合な真実」を見つけたかもしれないのです。

新しく知り得た事実は何か?

行動したからこそ、知り得たことがあったはずです。
机上の空論が非難されるのは、行動していないからです。
何らかの抵抗、問題に立ち向かい、行動することにより、今までは守られていて見えなかった、新しい事実を知ることができます。

例えば、険しい峠道を登り切ることによって、山の向こう側のまだ見たことのない景色を見ることができます。
行動するとは、そういうこと。
新しく知り得た事実とは、行動した人へのプレゼントなのです。

それぞれしたことの効果はどうだったか?

行動したことのまとめが、「失敗だった」、「期待外れだった」では、そこから次へ活かすものが得られません。
その報告を受け取る側も、アドバイスに苦しみます。
実行者は失敗したくないと思うし、依頼者も失敗してほしくない、次は成功してほしいと思うもの。
一つ一つ、何をして、どうなったのか、客観的に整理し、まとめることは、次へのスタートラインです。
効果検証をすることで、次のステップのAですべきことと、しなくてもいいことを選別することができるようになるのです。

PDCAは最強のツールである

PDCAを優れたフレームワークたらしめているのは、Cです。 行動(D)することにより、新しい現実を見る。
これはすなわち、AS-IS(現状)とTO-BE(あるべき姿)との間に横たわるギャップそのものです。 成功の確率を高めるためには、AS-ISとTO-BEを言語化するのがスタートラインと説明しました。
PDCAサイクルのCとは、まさにその行為なのです。

それゆえ、正しいCの後に、Aの修正して実行することにより、目的の達成、成功への確率は一段と高まっていくのです。

最強ゆえの弱点

このように、PDCAサイクルは、非常に優れたフレームワークです。
しかし、何事にも「最強」には「弱点」がつきものです。
PDCAの弱点は何か?

よく語られることですが、「強み」の裏返しが「弱み」です。
得意から少しずれたところが、弱点なのです。
つまり、PDCAの場合は、Cです。

どんな弱点なのでしょうか?

第一番目は、このブログのタイトルです。「現実歪曲フィールド」
私たちは、見ている現実を自分にとって都合の良いように切り取ってしまいがちです。
先に指摘したように、「想定外」に気が付かない、目を向けないことは多々あります。
誰も「不都合な現実」など、直視したくないのです。

二つ目は、自分ごとから他人事にしてしまうこと。
Cの段階で、どうせ私がやってもダメだ。無駄だ。
本来、XXが解決すべき問題ではないか、何で私が。
というように、自己否定したり、他責に回してしまったり、評論家風情で自分で解決しようとしなくなった時、PDCAは機能しなくなります。

最後は、時間の流れを無視してしまうこと。
世の中は、常に動いています。変化します。
にも関わらず、Planの時のまま世界が動いていないことを前提に、Cで評価している。
移ろいゆく世界の中は、例えるなら、絶えず流れが変化する川と同じです。
無常、常ならぬ世界です。
そのことを、私たちは得てして忘れやすい。
「現実歪曲フィールド」にも通じますが、自分にとって都合よく「世界を止めて」しまう。 私たちはDIOではない。

PDCAがうまく回らないのは

PDCAは手垢のついた、ありきたりなフレームワークで、効果はさほどでない、と思った方もいらっしゃるでしょう。
上司が、会社が、「PDCAを回せ」と言い続けているだけで、有効性を感じなかった、という方もいらっしゃるでしょう。

ですが、今日現在も、このフレームワークは存在しています。
時の重みに負けていません。
それだけ、強力で有用なツールなのです。

問題は、使う私たち側にある。
ツールに罪はないのです。
ただ、使い方の問題なのです。

  • 何が想定外だったのか?
  • 新しく知り得た事実は何か?
  • それぞれしたことの効果はどうだったか?

このCheckのプロセスがおざなりになっていることこそが、うまく回せない原因なのです。 その結果、

  • 現実歪曲フィールドで不都合な現実を無視する
  • 自分ごとではなく他人事にしてしまう
  • 時間の流れを無視し、世界を止めてしまう

といった、失敗をしてしまうのです。

フレームワークは非常に有用なツールである。
問題は、使う私たち側にある。
世界を止めることも、現実を変えることもできない。
ただできることは、謙虚に世界を見つめ、考え続けることである。